上村愛子さんと里谷多英さんが出会ったのは、上村愛子さんが14歳、里谷多英さんが17歳の頃です。

一緒にモーグル選手として活躍し仲間、そしてライバルとして頑張ってきました。
現役時代初期のころの2人は同じ部屋になることが多く、一緒に切磋琢磨していたそうです。

トップアスリートとして活躍する2人は、同じ部屋になることで重い空気になることもしばしばあったようですが、2人は選手引退後も食事をしたり連絡を取り合ったりする仲だそうです。

お互い選手という立場から離れると、上村愛子さんにとって里谷多英さんは一人の女性として大好きな憧れの先輩だとお話しています。

今では選手時代のことだけでなく、それぞれの人生について話をしたりアドバイスをする良い友人関係が出来上がっているのでしょう。

上村愛子さんにとって里谷多英さんは、モーグル人生で影響や刺激を受けた人物です。
里谷多恵さんは、上村愛子さんの3学年先輩で初めて出会ったのは1994年です。

上村愛子さんがカナダのウィスラーを旅行中にワールドカップ（Ｗ杯）を観戦し外国人選手の中で目立っていたのが、北海道・東海大四高校２年生だった里谷多英でした。

里谷多英さんは、この時にはスキー雑誌やビデオで紹介されているほどの注目選手で、上村愛子さんにとってはスーパースターのような存在でした。

そんな憧れの里谷多英さんと、高校1年生のときに日本代表に選ばれた上村愛子さん。

Ｗ杯や世界選手権に出場するために、半年間海外を一緒に飛び回り毎日練習できるだけでうれしかったそうです。

遠征先では同じ部屋になることが多かった2人は、年齢も近かったため当時流行っていた歌手の歌を一緒に聞いたり、話をしたり楽しく過ごしていました、
しかし、勝負の世界にいる2人は試合のたびに順位が出ます。
必ずどちらかが上か下になる結果で、お互いのことを意識しないわけがありません。

そのため、背中を向けて寝ることもあり重い空気で過ごす時間も少なくなかったようです。

上村愛子さんが代表になったばかりのころは、里谷多英さんからかわいがってもらい、甘えていた先輩後輩の関係から、少しずつライバルとしてお互いを意識する関係に変化していきました。

長野五輪が終わってから上村愛子さんもメダル獲得を目標とし、日本女子史上初となる冬季五輪金メダルを獲得した里谷多英さんを憧れの先輩から、追い抜き自分もメダルを手に入れたいという思いが芽生えてきたそうです。

上村愛子さんと里谷多英さんのエピソードと言えば、やはり一気に注目された長野オリンピックではないでしょうか。

1998年に開催された長野五輪で上村愛子さんは7位に入賞。

しかしこの時憧れの先輩だった里谷多英さんは、金メダルをかけた滑りに挑戦していました。

上村愛子さんは、里谷多英さんのことが気になって自分の順位は最後まで分からなかったそうです。

自分の7位入賞という結果はうれしかったが、それ以上に里谷多英さんが金メダルを取れたことがうれしいと語っていました。

そして、この里谷多英さんの金メダル獲得がメダルにたいして無欲だった上村愛子さんにとってメダル獲得への気持ちを芽生えさせた出来事でした。

その後、ワールドカップなどで結果を残した上村愛子さんですがオリンピックでメダルを獲得することは残念ながらありませんでした。