スタジオジブリ制作の映画『千と千尋の神隠し』は、宮崎駿が監督、脚本を務めた作品です。

10歳の少女の千尋が、両親と引越し先に向かう途中に立ち寄った森の中のトンネルから、不思議な世界に迷いこんでしまいます。

そして千尋の両親は掟を破ったため、老魔女の湯婆婆によって豚の姿に変えられてしまいます。

千尋は、湯婆婆の経営する銭湯で懸命に働きながら、元の人間世界に戻ろうとします。

2001年に日本公開された『千と千尋の神隠し』は、日本歴代興行収入第1位を達成。今もなお人気の高いジブリ作品です。

千尋の母親は、実の娘である千尋に対して、なぜか冷たく振る舞います。これには最近の母親像が影響していると考えられています。

現代の母親は、共働きで自立心が強く、子供にも自立心を求める傾向があると言われています。そのため『千と千尋の神隠し』では、昔の母親像ではなく、現代的な母親像が描かれているのでしょう。

河の神が千尋に授けたニガダンゴには、体の中にある悪いものを出す薬のようなもののようです。湯婆婆がハクを操るためにかけた魔法も、ハクの中から追い出しました。

湯婆婆（ゆばーば）と銭婆（ぜにーば）は双子です。見た目は同じように見えますが、作画アニメーターは、湯婆婆は胸元にイボが1つ、銭婆はイボが4つとあるという違いがあると証言しています。

銭婆には「あたしたち二人で一人前なのに気が合わなくて」というセリフがあります。

このことから、銭婆と湯婆婆で、一人の人間の二面性を表現しているのではないかと考えられています。

旧約聖書の中で「ソドムとゴモラ」に登場するロトの妻は掟に従わず、振り返ってしまったことで、塩の柱になってしまいます。

そのためハクのセリフは「約束は守らなければいけない」という意味だと考えられます。

千尋と両親が通った赤いトンネルは、神々が住む世界につながるトンネル。最後の石のトンネルは普通のトンネルです。最後は石のトンネルになったことからも、もう二度と戻れないということを意味していると考えられます。

千と千尋の神隠しの油屋は、台湾北部の山間にある九份（きゅうふん）という町をイメージしたと言われています。しかし宮崎監督は否定しているようです。

油屋に入り、千尋にたくさんのお金を見せて食べようとするカオナシは、資本主義世界を描いていると噂されています。