スパートのシグナルを自ら出す。「こうした方がイキイキしていい」。サングラスを外すと、沿道で応援する父良明さん（５９）兄哲朗さん（３１）に向かって投げ捨てた。一気のスパートで、シモンを突き放す。影をも踏ませぬ走りで金メダルロードを爆走する。
　「呼吸は苦しくない。でも足が全然、前に進まない」。これまでにない重圧、後ろから迫るシモンの「幻影」……。最後の気力を振り絞り、栄光のフィニッシュ！　握りしめた両こぶしを突き上げる。五輪最高記録の誕生だ。新女王は腰に手をあてると、スタンドに深々と一礼した。

国からも讃えられる英雄でありながら、愛らしい笑顔に親しみやすい性格、そして「Qちゃん」というキャッチーな愛称から、たちまち日本中のアイドルに。様々な番組・イベントへ引張りだこになり、練習の時間もなかなか取れないほどになります。

「諦めるかなって思ってたけど、とにかくしつこいんだから。Ｑちゃんの最後の言葉が『ご飯だけ食べさせてください』と、『練習を見て強くしてください』だった」と言わせるほどだった。これで自費での合宿参加を許され、小出監督に猛アピール。これに監督は「この子は強くなるってピンっときた」と話した。

Qちゃんのかつての監督で恩師の小出義雄氏もVTRに音声で登場。「Qちゃんは若いときからもてたよ。Qちゃんを嫁にくれって、僕のところに何人か男が来てるよ」などとオドロキの（？）エピソードを披露。しかし小出氏はそいつらの性格を見て、Qちゃんとは合わないと思い、「全部断った」そうである。

「基本的にずっと内緒でした。オリンピックの時も、その前のアジア大会の時も、ずっと彼はいたんですね」と明かしたが、そのデートは「私は、休みでも2時間走らないと、どうしても気が済まない人だったんで、会ったら一緒に2時間走る。デートの半分は走っている」という、とんでもない過ごし方だった。

彼女は「だって小出監督はもう72歳ですよ！」と笑いながら否定すると「週刊誌が元の噂は“9割がウソ”ですから」とバッサリと斬ったのだ。

だがメインMCの久本雅美がすかさず「じゃあ1割は本当なの？」と確認すると、高橋尚子はあっさりとそれを認めたのである。

相手はシドニーオリンピックの頃の元コーチだと高橋は明かした。2人は恋愛関係にあったがやがて高橋の方から別れることを決断したという。