「もののけ姫」は、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画。監督は、日本が誇るアニメの巨匠・宮崎駿が務め、構想16年、制作に3年をかけた大作となっています。室町時代の日本が舞台となり、荒ぶる神々と人間の戦いを描いた作品です。

主人公の少年アシタカの属していた蝦夷（エミシ）一族は日本に実在し、大和の戦いに敗れ、ひっそりと隠れて暮らしていたと言われています。そのため16世紀の室町時代を舞台にしていると考えられます。

また石火矢と呼ばれる火砲が普及していることからも、ストーリーは、室町時代から戦国時代頃だと考えられます。

歴史的背景は、鉄を作る村である「タタラ場」で働く人たちの様子からもわかります。ここで働く人の中には、ハンセン病患者と思われる人もいます。

今でも日本は男尊女卑だと言われますが、昔はより男尊女卑の考えを持っていた印象があります。しかしタタラ場では、女性指導者であるエボシ御前をはじめ、女性職人が活躍し、発言権を持ち、男性に負けない立場を確立しています。

エボシ御前は幼少期に奴隷として倭寇の親分に売られたことがあります。そこで親分の妻となったものの、親分を殺して財産を盗み出し、タタラ場を作り上げたと伝えられています。エボシ御前自身が奴隷として売られたことがあるからこそ、奴隷となった女性を買い取り、タタラ場で作業をさせていると考えられます。

サンは人間でありながら、モロの君という犬神に育てられました。サンはかつて、人間が生贄として捧げられたのです。モロの君もサンも、森を切り開こうとする人間であるエボシ御前を憎んでいます。

アシタカが村から旅立つ時、カヤと言う女の子が、短刀を渡しました。この短刀は純潔を誓う証であり、どうやら彼女はアシタカの許嫁（いいなずけ）だったようです。周りも二人は結婚するのもだと思っていたようです。

しかしアシタカは、タタラ場でサンに出会い、告白。最後はタタラ場で一緒に暮らそうとします。このことからもアシタカは許嫁を捨てたと考えられており、無責任だと言われるようになりました。